歯医者が教える「歯の正しい磨き方」

なぜ「正しい磨き方」が必要なのか

「ちゃんと毎日歯を磨いているのに、虫歯になった」「定期検診で歯石を取ってもらったばかりなのに、歯茎が腫れている」——こんな経験はありませんか?
実は、歯のトラブルの多くは「磨き残し」によって引き起こされます。どんなに毎日歯ブラシを使っていても、“自己流”の磨き方が長年積み重なると、歯と歯ぐきの間にプラーク(歯垢)が残り、虫歯や歯周病の原因になります。

特に日本人は「力を入れてゴシゴシ磨く」「口の中全体をなんとなく同じように磨く」傾向があるため、磨き残しが多く、歯周病のリスクが高まりがちです。

また、歯ブラシの選び方や使うタイミング、1回あたりの磨く時間なども大切な要素です。正しい知識と習慣が身についていないと、「磨いているつもり」で終わってしまう可能性があります。

では、どのようにすれば“本当に”正しく歯を磨くことができるのでしょうか? 具体的な磨き方やポイントを歯科医の視点から解説していきます。

歯科医がすすめる「正しい歯磨き」の基本ステップ

正しい歯磨きの基本は、「プラークをしっかり落とすこと」と「歯や歯ぐきを傷つけないこと」。この2点を意識するだけで、歯磨きの質は格段に上がります。

● ステップ① 歯ブラシの選び方

毛先が広がっていない、ヘッドが小さめで毛の硬さが「ふつう」または「やわらかめ」の歯ブラシを選びましょう。大きすぎるブラシでは細かい部分に届きにくくなり、硬すぎる毛では歯ぐきを傷つける恐れがあります。

歯ブラシは1ヶ月に1回を目安に交換するのが理想です。毛先が開いたものは清掃効果が大きく下がります。

● ステップ② 正しい持ち方と角度

歯ブラシはペンを持つように軽く握ります。力を入れすぎると歯ぐきが下がって知覚過敏の原因になることも。

歯と歯ぐきの境目(歯周ポケット)に毛先が届くように、45度の角度であてるのがポイント。1本1本の歯を丁寧に、小刻みに優しく磨きましょう。横磨きよりも、振動させるような「小さなストローク」が効果的です。

● ステップ③ 時間と順番を決める

歯磨きは最低でも1回2~3分、できれば5分程度かけてじっくり行いましょう。毎回同じ順番(例:右上の奥歯→前歯→左上→下の歯)で磨くことで、磨き残しが減ります。

特に奥歯の噛み合わせ部分、前歯の裏側、歯と歯の間は汚れがたまりやすいので念入りに。

● ステップ④ 補助器具も活用する

歯ブラシだけでは60~70%しかプラークを除去できないと言われています。そこで、歯間ブラシやデンタルフロスを併用することが推奨されます。

歯と歯の間や、ブリッジ・矯正器具の周りは特にプラークが溜まりやすいため、補助器具は非常に有効です。歯科医師や歯科衛生士に使い方を教わり、自分の口腔内に合ったものを選びましょう。

歯を守る習慣は“日々の積み重ね”から

正しい歯磨きは、1回覚えたからといって完璧になるものではありません。毎日意識して実践し、習慣化することが何より大切です。そして、どれだけ上手に磨いていても、自分のクセには気づきにくいもの。だからこそ、歯科医院での定期検診やクリーニングを通じてプロの目からチェックしてもらうことも必要です。

また、年齢や生活スタイルの変化に応じて、磨き方をアップデートしていくことも重要です。たとえば、加齢によって歯ぐきが下がると、根元が露出しやすくなります。この場合、通常よりもやわらかい歯ブラシや専用の歯磨き剤が適しています。

さらに、食生活やストレス、睡眠不足なども口腔環境に影響を与えます。歯磨きだけに頼るのではなく、全体的な生活習慣を見直すことが、歯と身体の健康を守る第一歩になります。

まとめ

「正しい歯の磨き方」とは、力まかせにゴシゴシこすることではありません。むしろ、力を抜いて、やさしく丁寧に磨くことが、歯を長持ちさせる一番の方法です。毎日の積み重ねが、将来の“歯の寿命”を決めます。

今までの習慣を少し見直すだけでも、口腔内の健康は大きく変わります。今日からぜひ、「正しい歯磨き」を意識して、健康な歯を一生のパートナーにしましょう。

予防定期検診

虫歯や歯周病を防ぐには予防しかありません。定期検診(3~6カ月)に行かれての予防が大切です。

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